『どうぶつえん物語』 あべ弘士

よるのいちにち絵本喫茶 テーマ絵本より

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大好きな絵本作家 あべ弘士さんの絵本のうち、少し大人向けにオススメしたいのはこちら
これは北海道の旭山動物園に1972年から25年間飼育係として働いていたあべさんの1994年頃の動物園日誌です。

日誌というよりは、エッセイ。
毎日移り変わる季節のなかの動物たちとの交歓が、あべさんのユーモアと愛に満ちた言葉で描かれている。
飼育係という仕事のきわどさと常に生死にかかわる現場でさえも、あべさんの視点は温かい。

この絵本を読むと、じわっと心が温かくなる。

例えば、私の大好きなゴリラのゴンタはこんなゴリラ


--引用
空気ひんやりの日、ゴリラに哲学ならう

ススキの穂が大好きで、コオロギが好きで、ゆうやけが好きで、
いつも ものしずかで
そんな ゴリラのゴンタの、おおきな背中が ぼくは好きだ
となりにならんで、夕日のしずむまで みていた
--

そのゴンタがある日倒れる

--
ハクチョウがわたってきた日、ゴリラのゴンタ 脳出血で たおれる

230kg
8人ではこぶ
”しっかりしろ!”と”今、さめたらどうしよう”が
あたまのなかを かけめぐる
ちかいはずの病院が、 やけに とおかった
--

この2つ読んだだけでも、ぐぐっときますよね。
もちろん、あべさんの絵学生き生きとした動物の絵も魅力的なので、こどもたちに読んでもらっても楽しめる絵本に間違いはないのですが、醍醐味はあべさんの人間性と感性がこぼれでてくるような文章にあって、短文ながら滋味深い言葉には心に沁み入るものがありました。


あべさんが長年お勤めになった旭山動物園は3年前に映画になっています。
この映画であべ弘士さんを柄本明さんが演じています。
行動展示、ピンポイントガイド、夜の動物園など動物園再生に行った数々のアイデア。
行ったことないのですが一度は行きたい動物園ですね。


旭山動物園物語
http://www.kadokawa-pictures.jp/official/asahiyamazoo/






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