『山からきたふたご スマントリとスコスロノ』乾千恵(再話),早川純子(絵),松本亮(監修)

よるのいちにち絵本喫茶テーマ絵本より

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インドネシアのジャワ島でおこなわれる影絵芝居・ワヤンの物語を再話した絵本。

「はるかむかし、天界の神々が人間の世界とゆききしていたころの物語」
ワヤンではよく演じられているスマントリとスコスロノの話。

ふたごの兄弟スマントリとスコスロノは兄のスマントリが美丈夫に生まれ、弟のスコスロノは鬼のような醜い姿で産まれた。スコスロノは森に捨てられるがそこで不思議な力を天界の神々に与えられる。
2人は互いを想いやりながら絆を深めていくが、逆らうことのできない運命と神々に振り回され、とうとうスマントリはスコスロノを殺めてしまう。

嫁取り、婿取り、兄弟殺しの物語の結末は魂となった弟スコスロノによる兄スマントリの最期。
表と裏のような2人は死してひとつになり天界へと登っていく。

制作側も10代以上を意識したというだけあって、インドネシアに語り継がれてきた神話を冒険劇として楽しむには大人向けと位置付けてよいかと思います。

ガムランやワヤンを見たことがあればなおのこと、彼の地にいまなお息づく神々の気配をこの作品から受け取れるのではないかな。

なんといっても早川純子さんの木口版画が1頁ごとインドネシアと物語の核心を見事に再現していて惚れ惚れします。そして私の大好きなデザイナー白石良一さんがページレイアウト・装丁を手がけたこともあって、すみずみまで美しい。半観音開きのページもあり、ひときわ構図が印象的なページなど楽しんでくださいね。




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