絵本:『リスとお月さま』

『リスとお月さま』作・絵: ゼバスティアン・メッシェンモーザー 訳: 松永美穂
ゼバスティアン・メッシェンモーザーのリスシリーズから1冊。
なんといってもこのリスさん。キャラがたっています。
そうなんです、絵本なのにキャラという言葉がでてしまうぐらいコミカルなんですよ。
表紙だけを見ると、えんぴつ画のデッサンのような筆致で写実的な絵なのですが、この真面目さとは裏腹にリスさんが何とも人間味溢れる気弱なおっちょこちょいで、物語の展開がコメディなんです。
絵が素敵なのに、お話はコミカルなコメディでそのギャップにくすっと笑えてしまうのだと思います。
それによく見るとリスの手つきや、お腹一杯になったねずみたちの態度は巧妙に擬人化されていて、それもまた大真面目にユーモアを表現しようとしている感じで。
お月さまが勝手に落ちてきたのに、冤罪を恐れて投獄されるイメージを何度も何度も想像してしまうリスさん。
つぎつぎと問題が大きく展開していく間に、必ず差し込まれる投獄シーン。
このシーンがまた「ここ笑うところ」という呼吸で挿入されています。
そして最大の秘密があるんですよ、リスを翻弄したお月さまの正体は?
それは、いちにち絵本喫茶に来てどうぞ確かめてみてくださいね。
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絵本:『お月さん舟でおでかけなされ』

『お月さん舟でおでかけなされ』 うた 神沢利子 絵 赤羽末吉
1980年童心社より出版された神沢さんの絵本、絵は赤羽末吉さんという夢のような組み合わせで出版。
「お月さん いくつ
十三 七つ」
子守唄のような詩がたゆたう波の上で舟をこぐお月さんを導いていきます。
年わかいお月さんは、波のあいだにおちた子を、南の海までさがしにいきましたが、みつかりません。 旅からもどったお月さんは、山にのぼりザボンをたべて―。
神沢さんのうたを読んだ赤羽末吉さんは、この話にさまざまな和紙を用いて抽象的な詩の世界を表現しました。
ビジュアル・スト―リーテラーと言われる赤羽さんの唯一の和紙ちぎり絵の絵本ということでも、大変めずらしい絵本です。
安曇野ちひろ美術館で、この絵本の原画をみましたが背中がぞくぞくしました…。
神沢利子さんの展覧会を開く折に、この絵本を担当しまして、好運なことに、当時童心社にいた担当編集の方にインタビューすることができました。
当時はいまよりもっと「絵本はこどものもの」という風潮が強かった時代で、大人のための絵本をつくろうという発想はなかったそうです。そんな中、企画し編集会議を通すのは本当に骨が折れたとか。
でも絵本をつくる作家も絵をつけてくれる画家も、こどもにおもねらずよいものをつくる、ということに賛同したのだと思います。
詩的な情景が大人の心象を描くような複雑さで書かれていながら、芸術作品のように美しい。
この本はもう絶版で入手は古書店などで探すしかないのですが、秀逸な絵本です。
もちろん、韻を踏んだうたが心地よく、子どもにも読んであげてよい本ですので、この機会にぜひ手にとってみてください。
お月さまとは離れてしまいますが、この童心社の企画でつくられた3冊の残り2冊
『林檎の木のうた』神沢利子・文 大島哲以・絵
『いないいないの国』神沢利子・文 斎藤真一・絵
もぜひとも機会があれば合わせて読んでみてください。
3冊とも隠れた名作です!
(なんといっても、画家の顔ぶれがすごすぎます…)
こういう絵本に出会えた時に味わう感動は言い尽くせません。
と、店主べた褒めで(多少我を忘れて)こちらの絵本は今回イチオシです!
興味のある方は9月4日、どうぞ読みにいらしてくださいね。
絵本:『月と少年』

『月と少年』 作・絵:エリック・ピュイバレ 訳:中井 珠子 出版社:アシェット婦人画報社
3冊目はこちら。エリック・ピュイバレの「月と少年」です。
表紙の絵を見ると、少年が布を月に覆いかぶせていますね。
この表紙の絵にあるとおり、月の満ち欠けが人の手によるもので、仕事をしているのは少年だということがわかります。
月の満ち欠け屋になるには、特殊で難しい資格試験を通らなければなりませんが、とうとうティモレオン少年は資格を取り、これまで月の満ち欠け屋だったザモレオンじいさんのかわりに、月の満ち欠けの仕事を引き継ぐことになりました。しかし、月まで飛べる大事な薬を落としてしまって・・・。
困ったティモレオン少年が次々出会った人々から月へ行く方法を提案してもらうものの、なかなかうまくいきません。それでも町中の人がティモレオンを月に渡そうと頭をひねります。
そしてついに無事に月にたどりつき、ザモレオンじいさんと交代したティモレオン。
少年の純粋な使命感が月の満ち欠けを滞りなく行うというラストで読後感がよいです。
エリック・ピュイバレさんはボローニャ国際絵本原画展で入賞歴もある実力派。
日本での翻訳出版はこの「月と少年」だけのようですが、ほかにも作品があるので翻訳出版が続くといいなと思います。
絵本:『つきよのかいじゅう』

『つきよのかいじゅう』 作・絵: 長 新太 出版社: 佼成出版社
続いてこちら。長新太さん「つきよのかいじゅう」のご紹介。
表紙をみれば、ほー。月に湖、そして黒い影はきっとかいじゅう。だってタイトルがかいじゅうだし、ネ。
このアングルだって、ネッシーを彷彿とさせますので湖に住む大きな生き物がでてくるに違いない、と普通は思いますよね。
でも、作者は長さんですよ。
このまますんなり「かいじゅう」が出てくるとは思えません。
それぐらい読者の意表を突き、そして話のそこには脈絡も何もない。
ということで、初めてこの絵本を手にしたときは、かなり「かかってこーい!」という気持ちで挑んだ記憶があります。そして、当然ストーリーで待ち受けているのは大どんでん返しです!
さて、月夜の晩には何が起こるのでしょう?
それを見届けるために湖のそばで毎夜テント生活を続ける一人の男。
その男が見たものはいったい何だったのでしょうか??
気になる方は、会場にお越しいただき、どうぞ長新太さんワールドのオチを確かめにいらしてくださいね。
絵本:『おつきさまこんばんは』

『おつきさまこんばんは』 作・絵: 林 明子 出版社: 福音館書店
1冊目はこちら。のっけから殿堂入りの絵本紹介となってしまいましたが、林明子さんの「おつきさまこんばんは」を紹介します。
ご存じの方も多いと思います。これまでに100万部を超えた絵本のミリオンセラーにも入っています。
小さなお子さんでこの絵本が大好きという話をよく聞きますし、実際、うちの娘2人もこの絵本にははまりました。
子どもの感性ど真ん中の絵本の1つではないでしょうか。
濃紺の宵闇にうかぶ福々として光輝くお月さま。
穏やかな笑顔をみるのに、黒猫の親子が月を見上げます。
ストーリーはお月さまの表情をみながら進み、途中くもさんに隠れてしまうという事件がおきます。
ここのシーンでは必ず「だめだめくもさん!」と口を揃えて言います。
ゆっくり進んでしっかりお月さまと会話し、お月さまを堪能できる絵本です。
絵が秀逸で画面に溶け込んでいる黒猫たちを見つけるのもまた楽しい。
裏表紙にお月さまのユーモアが隠されていて、最後の最後に笑いがこぼれる素敵な絵本です。
べた褒めですが、王者の貫録。
すべての子どもが惹き込まれる素質十分な絵本として多くの人に愛されていると思います。
懐かしくて手に取るもよし、うちにあるけど子どもが好きでここでも読んでしまうでもよし、1歳くらいのお子さんのファーストブックにどうかしら?でもよし。
会場には2冊ありますので、どうぞご覧くださいね。
喫茶メニュー:有機栽培茶「和」

喫茶メニューが続きます。
長崎にある北村茶園さんの今年の新茶で「和(なごみ)」です。
北村茶園さんのお茶は完全無農薬・有機栽培でつくられています。
それも昭和44年からお茶の無農薬栽培に取り組まれていますので、土壌の残留農薬の心配もないですし、茶畑のある場所も近隣の茶畑より高い位置にあり、周りから風で流される農薬も心配ありません。
無農薬のお茶栽培を始めた北村信二さんは「孫にも安心して飲ませることができるお茶」を目指して、虫のつきやすい茶畑を手間と工夫を重ねてこれまで美味しいお茶を作り続けてきたそうです。
新茶シリーズの「極」「匠」をそれぞれ頂きましたが、ほんとうにまあるい甘みいっぱいの美味しいお茶で滋味豊かな味わいがしました。
新茶シリーズは5月に茶摘みを行ってだいたい半年の間飲めるお茶だそうです。
美味しい本当のお茶の味を試してみたい方どうぞお楽しみに。
(追伸)
こちらは前回(第1回)のときにお出しする予定だったところ失念してしまい、お出しできなかった有機栽培茶です。楽しみにしてきてくださった方大変申し訳ございませんでした。
ご都合よろしければ次回飲みにいらしてください。お待ちしております。
喫茶メニュー:ハーブティお月さまブレンド

第2回いちにち絵本喫茶の絵本テーマ「月」に合わせて、今回も蓼科ハーバルノート・シンプルズ萩尾さんがお月さまブレンドを作ってくださいました^^
今回のテーマにあわせたハーブティの予定はなかったのですが、チラシをもってお店に伺ったら、お声をかけていただいて、次のイベントの話になり…、お月さまの話になり…、
「月ならいろいろあるわよ」
と優雅なしぐさで、ささっと取り出してくれたのが、満月と関係の深い「ジャスミン」と「リンデンフラワー」の2種。1枚目の写真です。
どちらも綺麗なクリームイエローで満月の色を彷彿とさせますよね。
選んでいただいて見せてもらったときは、心躍りました。
ドキドキ…。
自分であとから調べたことと萩尾さんに伺ったお話によれば、
リンデンフラワーは菩提樹のこと。
5月の満月の日に菩提樹の下でお釈迦様が悟りを開いたことにちなみ、ミャンマーでは仏陀の日(5月の満月)に欠かさず菩提樹に水を注ぐという習わしがあるそうです。
そしてジャスミン。
ジャスミンは陰陽でいうと、陰に属するハーブだけど、たくさん飲むと陽に転じる性質があるんですって。
月の満ち欠けと同じですね。こちらもタイでは満月の日に行われる祭事で必ず使われる花として扱われているそうです。
占星学と薬草(ハーブ)の関係でいえば、どちらも月の支配下にある薬草だそうで、昔の人々は月光を浴びて力をためるとか、摘むのも満月の夜の方が薬効が高くなるとか思っていたともいいます。月の魔力を信じていたんでしょうね。
科学的にはなんの証明もないようですが、実際、潮の満ち引きや月の引力の関係など神秘的な謎はまだまだ多く感じます。信じる気持ちで効能が高まったこともあったのかもしれないですね。
人智の及ばない自然の不思議があっていいと思いますので、感じるままにお月さまのパワーをハーブティから受け取ってお楽しみください^^
さて、ジャスミンに関してはもうひとつ。
普段は中国茶にジャスミンを混ぜて、ジャスミン茶としていただく機会が多いのではないでしょうか?
今回はリンデンフラワーと合わせてジャスミンの花だけで淹れますので、驚くほど味が違うと思いますよ。
ジャスミン独特の香りはほんのり甘く、リンデンフラワーとの相性も抜群!とても優しい味わいの素敵なハーブをお召し上がりいただけます。
当日は「お月さまブレンド」としてお出ししますので、ご興味のある方はぜひお試しください。
今回のハーブも、お子様(赤ちゃん)、妊娠しているプレママさんともに飲んでも大丈夫なハーブティとなっています。安心してお飲み下さいね。

こちらは写真だとわかりにくいのですが、お湯を注いだところです。
綺麗なクリームイエローですね。

とっても不思議な香りでほんのり甘く、すーっと飲めてしまいました。
みなさまもどうぞお楽しみに!
喫茶メニュー:手作り紫蘇ジュース

第2回喫茶メニューの手作りジュースは「紫蘇(しそ)」です。
時季はもう終わりかけなのですが、運よく赤紫蘇が手に入ったので、いちにち絵本喫茶用に紫蘇ジュースを作りました。
何回かに分けて葉の赤色が抜け、鮮やかな緑色になるまで煮だしてから甘みと酸味をプラスします。
今回甘みには「きび糖」、酸味には「りんご酢」を使いました。
仕上がった紫蘇ジュースを子どもたちに試飲してもらいましたが、氷をいっぱいと少しのお水で割って、ぐびぐび。ブラボーでました^^
おかわりしたい!と言われたのですが、あまり量も仕込めなかったので、このまま冷凍保存し当日みなさまにお出ししたいと思っております。
あまり量がないので、試してみたい方は早めにいらしていただけると飲めると思います。
ソーダもしくは水少々のどちらかで割ってお出ししますので、スタッフに声をかけてくださいませ。

こちらはすでに冷凍保存されている紫蘇ジュース。
凍っていても鮮やかな紫色で綺麗ですね。
どうぞお楽しみに。
喫茶メニュー:野草茶
MOON MARK

第2回の絵本のテーマは定番中の定番「月」です。
十五夜も近いことだし、親しみやすいテーマでおつきさまの絵本はこどもたちにも大人気。
何より私も大好きなんです。ですので、月の絵本をかき集めて読みなおしているいまとても楽しい気分です。
レビューが遅れ気味ですがこちらでまた順番に紹介していきますのでお待ちくださいね。
さて、いちにち絵本喫茶ではデザインを担当しているのは「おやじ」です。
なので、今回のチラシに
「かわいい月のイラスト描いてください」
と頼んだところ、描いてくれたイラストがこちらのMOON MARK。
なかに「つき」とひらがなで入っていますね。
地味にちょこっと入れてもらいましたが、なかなかかわいいです。
チラシにはアップにしないとわからないぐらい小さく入っているので、こちらで紹介いたしましたが、お手元にチラシをお持ちの方はどうぞ見てみてくださいね。